大規模改修工事の難しさとは?
マンション大規模改修工事が他の建築工事と最も異なる点は「日常生活をしている中で工事を行なう」ことです。通常、建築工事はその周囲をバリケードなどで囲い工事現場に一般の方が立ち入ることはありません。工事現場にいるのはヘルメットを着用したプロの工事関係者ばかりです。しかし、マンションの大規模改修工事では赤ちゃんからお年寄りまで居住者の皆さんが日常生活をしている中で工事をしなければなりません。居住者の皆さんが廊下を歩き、洗濯物を干し、子供が走り回っている中で工事を行なうのですからその難しさは容易に想像することができます。本章では大規模改修工事の難しさについてご説明します。安全面について
マンション大規模改修工事では居住者をはじめ訪問客や宅配業者などマンションに出入りする方々の安全を最優先にしなければなりません。電動工具のケーブルに足を引掛けて転倒したり、補修工事の際のコンクリート片が直撃したり、塗料が衣服に付いたりすることがないよう徹底した安全対策が工事施工業者には要求されます。そのため工事施工業者は、工事着工前に全居住者を対象とした工事説明会を開催し、工事期間中の注意事項や禁止事項を説明します。是非ともご出席いただき、無事故無災害で工事が終えられるようご協力いただきたいものです。特に子供たちは工事の様子が珍しくて興味津々、工事作業者のそばから離れようとしません。そのような場面を見かけた場合、わが子でなくても注意するなど居住者と工事施工業者が協力し合って工事を進める姿勢が必要です。防犯面について
工事期間中は建物の外周に仮設足場が設置されるため何階であっても泥棒は容易に住戸に侵入することができます。そのため、防犯に対する意識を高める必要があります。戸締りの徹底はもちろんですが、不審者をマンションに立ち入らせない対策を検討しましょう。集合住宅改善センターが業務を行なっているマンションでは誰とでも挨拶をしましょうと呼びかけています。居住者同士のほかに、工事関係者や宅配業者に、見知らぬひとにも挨拶をしてください。もし不審者であればドキッとすることでしょう。誰もが無関心なマンションよりも挨拶が盛んなマンションの方が防犯効果は高いと考えています。また、工事期間中に適当なことを言って法外な値段を請求するような悪徳業者が大規模改修工事の関係者を装って各住戸を訪問する可能性があります。回覧板や掲示板を活用し、管理組合が主体となって積極的に注意を呼びかけましょう。
協力面について
大規模改修工事では全住戸にご協力していただかないといけないことがたくさんあります。例えば、指定期限までにバルコニーにあるすべての荷物を室内に片付けていただくこと、バルコニーが使用できない日、窓が開けられない日、エアコンが使えない日、在宅していただく日などがあります。工事はすべて事前に作成したスケジュール(工程)に沿って進めます。もし仮に1戸でもバルコニーの荷物が片付いていない住戸があるとその日以降の工事スケジュールを変更しなければならず、結果的に全住戸に迷惑が掛かることになります。遅延なく工事を進めるには賃借人を含め全住戸の協力が必要です。以上のように大規模改修工事を安全かつ円滑に進めるには建築技術以外の面でも管理組合に適切な助言ができる経験豊富な設計事務所(コンサルタント)や工事施工業者が欠かせません。
〔筆:集合住宅改善センター正会員 一級建築士 勝井健人〕










